みなさん方はたぶん手を使うスキルを教えておられると思います
ふだん指導をする時はどのように伝えていますか?
「やってみせるから、とりあえず見ておいてください」
と伝えて実演してみせますか?
それとも丁寧にひとつひとつ言葉で伝えていますか?
ベテランの先生ならおわかりと思いますが、言葉で伝えるということが大切なのです
それも、文字ではなくて音声の言葉で伝えるということが大事なんです
ひとつエピソードをお話します
私のところに相談に来られた方が、ふたつの動画を持ち込まれました
小学校からの依頼で作られた動画だということでした
伝える内容はどちらも同じなのですが、ひとつは小学生のお子さん向け、もうひとつは大人の父兄向けというものでした
小学生向けにはナレーション、音声での解説がついており、父兄向けは同じ情報をテロップだけで伝えていました
学校が「父兄は大人だから文字だけで十分だろう」と指示してきた、ということでした
ところが、音声のない父兄向けの動画は、見てもほとんど内容が記憶に残りませんでした
音声で伝えた小学生向けの動画はちゃんと内容が記憶に残ったんですけどね
動画教材を作る時、しゃべるのが面倒くさいから、適当にテロップなどの文字を入れておけばいいや、と思っていませんか?
たしかに文字で解説することも必要ですが、音声で伝えられた内容のほうが遥かに頭に入る効率が高いのです
これは人間の脳の働きによるものだと考えられます
目で動きを追いながら、耳から言葉を聴いて理解する、ということは人間が太古の昔から続けてきた営みに沿っています
原始人がグループでマンモスなどの狩りをしているところを想像してみてください
目では獲物の動きをずっと追い続け、いっぽう耳では仲間の発する声を聴いている
狩りをするには視覚と聴覚を精一杯働かせなくてはいけない、ということはわかりますよね
この連携は今ではスポーツなどにも受け継がれていますね
動画を見る時も、目は映像の動きを追いながら、耳では音声の解説を聴く、というのが自然です
いっぽう文字はずっと後になって生まれてきたものです
さらに、動きを動画で見ながらそこにテロップなどの文字が表示される、というような状況はごく近年に始まったことです
人間の脳はまだそういう動きも文字もという状況に慣れていません
ですからテロップなどの文字は、最小限にしておくべきです
おおかたの情報は音声で耳から、そして映像に補足するような付帯的な情報をテロップで追加する、というイメージが正しいのです
教えるのがうまい先生というのは、手作りの腕にはあまり関係ありません
教えるのがうまいというのは、言葉にして伝えることが上手だ、ということです
つまり「言語化」ですね
目でみてわかることでも、言葉にして伝えることによってさらに記憶に刻み込まれます
動画教材を作ろうとする前に、まずご自分が伝えたい内容を言葉にしてみる、ということをおすすめします
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